
日本の家は断熱性能が低い
家全体を暖めることが一般的な欧米では、冬の平均室温は18℃を超えていることが多いようです。
一方で、使っている部屋だけを暖房することが多い日本では、90%以上の世帯で冬の平均室温が18℃を下回っているという報告があります。
それは寒い家は危険だという認識が海外と比べて低いためかもしれません。冬になると死亡者数が増加するため、アメリカやイギリスでは冬の室内温度に対する取り組みが積極的に行われています。

なぜ日本の家は寒いのでしょうか?
建築士で断熱を薦める通称「断熱男」こと竹内昌義さんは戦後の急な住宅需要でアルミサッシが急激に広まったことが一因といいます。今ではようやく樹脂サッシが導入され、関東以西で断熱等級6がようやく望めるようになりました。2025年4月から、すべての新築住宅に断熱等級4以上の省エネ基準適合が義務化されます。施行後は、断熱等級3以下の住宅は建てられなくなり、最高等級とされていた断熱等級4が最低等級になります。
断熱等級6の住宅は、HEAT20 G2と同等レベルの断熱性能を要します。また、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカなどの国では、断熱等級6・7に該当するUA値が法律で義務付けられています。
等級1 | 1980年以前に設定 |
等級2 | 1989年に設定。旧省エネ基準のため、冬はかなり寒くすきま風も入り込むような環境。 |
等級3 | 1992年設定。新省エネ基準ではあるが、まだまだ不十分な断熱性。 |
等級4 | 1999年設定。次世代省エネ基準。これまでの最高水準ではあるが、世界と比べると非常に低いレベルの断熱性。 |
等級5 | 2022年4月設定。ZEH水準。断熱材、窓ガラスの性能は等級4以上。 |
等級6 | 2022年10月設定。一次エネルギー消費量が約30%削減が可能なレベル。 |
等級7 | 2022年10月設定。一次エネルギー消費量が約40%削減可能。無暖房でも快適に過ごせるレベル。 |
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2025年新基準でもなお、世界では低基準の日本

窓から60%の熱が逃げている
熱の約60%が窓から逃げています。窓を2重窓にすることで断熱性能はかなり上がります。
ドイツなどではトリプルガラスやペアガラスのさらに複層使用も一般的です。
政府は内窓取り付けに関して補助金を出しています。築年数の経っている物件や、断熱性能の低い物件を所有されている方にはこちらの利用をお勧めします。

一般的な住宅で生じる熱の損失を、部位ごとに相対化した値。特に開口部からの熱の出入りが大きいことが分かる。
1999年の省エネ基準(次世代省エネ基準)で建てた家がモデル
(資料:日本建材・住宅設備産業協会の資料を基に作成)
新築物件は断熱基準を引き上げ。ただし既存の賃貸物件には表示義務がありません。
工務店の多くはZEH以上の工事について知識が乏しく、断熱性能の高い(エコハウス)住宅の建築が難しいのが現状です。新築物件でも断熱性能の高い住宅の提供先を探すのは難しいと言われております。
内窓取り付けの政府の補助金が使われていないのも、そもそも断熱についてのユーザーや工務店の知識不足が大きいと思われます。断熱化を施すことでQOLや物件の資産価値の向上などが認識されていないのが現状でしょう。
賃貸のオーナーは内窓を半分の工事費で設置が可能です。
工務店は通常の工賃で内窓設置ができるので、施工数が多ければオーナー・工務店・借主3方よしなのです。
賃貸の人はオーナーに依頼を
賃貸物件の資産価値を高めたいオーナーに内窓工事を依頼するのもありだと思います。
「内窓を設置してくれたら長く住みたい」などとお願いしてみましょう。
DIYでプラダンを用いて容易に内窓を製作することもできます。
我が家でもプラダンの内窓を設置していますが、5〜10℃違います。
断熱性能を極めた通称エコハウスは1日数時間空調をつけただけで一日中適温が保たれると言われています。一般的な住宅よりは少々値が貼りますが、光熱費がほとんどかからない住宅というのはそれだけの価値があると言えるでしょう。停電時も空調のダメージが最小限で済みます。
今回は断熱と2重窓について主にお話ししました。健康や気になる研究結果などについて今後もお話しできたらと思います。
最後までご覧になってくださりありがとうございました。
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