🍩 映画「チョコレートドーナツ」鑑賞記:時代と社会が奪ったもの、そして愛の形

話題作はなるべく観るようにしてますが、ずっと後回しにしていた映画がありました。それが、今回ご紹介する2014年公開『チョコレートドーナツ(Any Day Now)』です。

なんとなく観る気が湧かずそのままだったのですが、最近Amazonプライムで見つけて鑑賞しました。もし受賞直後に観ていたら、私は今回とは全く異なる感想を持ったと思います。

「映画というのは、受け止める人間の器を測るところもある」

今、LGBTQへの理解が深まり、私自身の許容度が上がっているからこそ、この映画を嫌悪感なく、あるがままの愛の形として受け止められたのだと感じています。そして、その感動は想像を遥かに超えるものでした。

『チョコレートドーナツ』は、とても素晴らしく、深く記憶に残る映画でした。

チョコレートドーナツ : 作品情報・キャスト・あらすじ・動画 - 映画.com
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🎬 1970年代の「常識」が愛に立ちはだかる

この物語の舞台は、1970年代のニューヨーク。実話を元にした映画です。

歌手を夢見るゲイのルディと、彼を愛する弁護士のポール。このゲイカップルが、隣に住む薬物中毒の母親にネグレクトされているダウン症の少年、マルコと出会うところから物語は始まります。

ルディはマルコに対し、出会ったばかりとは思えないほどの深い情と無償の愛を抱き、ポールと共にマルコの親代わりになろうと決意します。

しかし、彼らの前に立ちはだかったのは、当時の社会の凄まじい偏見と「常識」という名の壁でした。

  • 性的嗜好がゲイであることが知られると、職を解雇される。
  • 職場の同僚からは変な目で見られる。

積み上げてきた経歴や社会的な信用が、一瞬で崩れ去りかねない時代。それでも、他人からどう思われようと、自分たちの愛とマルコの幸せを優先し、人生を大きく変える決断をしたルディとポール。

私は、その勇気と、お互いを深く敬い合うカップルの関係性に、強く胸を打たれ、羨ましささえ覚えました。


💔 誰のための決定なのか?「犠牲」を生む社会の体裁

ルディとポールは、マルコの養子縁組を求めて法廷で闘います。

しかし、その道のりはあまりにも過酷でした。周囲が押し付けるのは、「ゲイカップルが子どもを育てるのは社会的に許されない」という当時の「常識」と「体裁」。

養子縁組を阻止しようとする社会の壁は、当事者であるマルコやルディ・ポールの幸せではなく、社会の形に都合の良い結果を強要しました。

マルコは、実の親にすら尊厳を保たれることがなかった少年です。そんな彼に、ルディとポールは一人の人間として、最大限の愛情と尊厳を持って接しました。マルコは心から平穏な場所を得かけたにも関わらず、それを奪い去ったのは、無理解という名の社会背景だったのです。

この映画の悲惨な結末は、私たちにあまりにも重い問いを突きつけます。

人の気持ち、考えを動かすことが難しい現実。

社会は、なぜ悲しい犠牲者が出ないと、その過ちに気づけないのだろうか。


✨ マルコ役のリアルと普遍的な愛の物語

マルコ役を演じた俳優が本物のダウン症であることも、この映画のリアリティを支える大きな要因でした。ルディとポールがマルコと築いた、血の繋がりを超えた家族の絆の尊さが、観客の胸に深く刻まれます。

この映画は、単なるLGBTQの権利を扱った作品ではありません。

真の愛とは何か、家族とは何か、そして社会の偏見がどれほど人の人生を狂わせるのかを、深く問いかける普遍的なヒューマンドラマです。

私自身の許容度の変化と共に、今、このタイミングでこの映画に出会えたことに感謝します。

時代は変わりましたが、現代社会にも残る「見えない壁」を改めて考えさせてくれる一本です。

記憶に残る、本当に良い映画でした。心から、おすすめです。


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