障害者の高齢化問題について考える

子どもが支援級に在籍していると、地元にある障害者支援のNPO法人の会報を毎月いただきます。普段は軽く目を通す程度ですが、4月に受け取った会報にハッとするエピソードが載っていました。

高齢母子家庭の孤立

40年前にそのNPO法人を利用し卒業されたAさんは突然、公衆電話から「お母様が亡くなった」とNPO法人の理事に電話をかけてこられたそうです。

電話をとった理事は数日後直接ご自宅を訪れます。Aさんはお母様と二人暮らしをしていたが、お母様が1月前にお亡くなりになり、年金を止める手続き等がわからず期限が迫っていたので困り果てて理事にご連絡をされたとのことでした。

役所へ同行すると実は支援計画ができていた

Aさんは数年前まで支援事業所で働いていたが母の介護のため仕事を辞め、母の介護に追われ社会との繋がりを絶っていた。介護の末、母に先立たれ、死後の色々な手続きで困った結果、過去の繋がりを頼ってこられたとのこと。理事がAさんと手続きのために役所に同行したところ、すでに自治体のケースワーカー、地域相談支援事業所の相談員、安心センターの方々は支援計画を準備されていたようです。

ここまで読んだ私は、行政の支援の介入が遅いことに驚きました。母親の死後1ヶ月の間、どうしていたのだろうと。基本的な身の回りのことは自立しており、食事はスーパーで買って凌いていたそうです。
役所等の担当者が手続き等をご本人に伝えていても、きちんと伝わっていなかった可能性があると感じます。急な事態で安心して頼れる関係性が構築できていないと、担当者に気軽に頼ったり質問したりすることも困難です。役所の手続きは健常者であっても煩雑なものも多く、わかりにくいので、たとえ丁寧に説明されていたとしても壁にぶち当たっているのではないかなと推察されます。

孤立社会への備え。誰にでも起きうる事態

このように孤立しないためにはどうしたら良かったのでしょうか。今後、障害の有無に限らず少子高齢化、未婚率の上昇、核家族、様々な要因で孤立する家庭はもっと増えていくことでしょう。

誤解を恐れずに言うならば親族が「障害者」の場合、積極的または日常的に関わるのは2親等くらいまでではないでしょうか。遠方に住む親戚だったらより心の距離は遠くなるかもしれません。
遠くの親戚より近くの他人と繋がりを持てるよう、周りのサポートが必要だと思います。Aさんのお母様も生前、自分の死後のAさんの生活を心配されていたそうです。

災害時などに声高に言われていますが、普段からの周りの人との関係作りが重要だと痛感しました。
何でもかんでも国や行政に頼っていても、我が国は少子高齢化で縮みゆく国家なので、人材不足でおそらく福祉だけに潤沢に人員を割けないでしょう。
私自身はご近所付き合いはできてませんが、近所以外で連絡を取り合う友人や親戚、会社やサークルなどで何かあったら話ができる距離感の人間関係があるので今のところは大丈夫。
ただ、働く世代の今のうちは選択肢がいくつかありますが、歳を重ねてしまうと友人・知人も亡くなったり、体力が衰えて交流できる人数・繋がりが少なくなってきてしまいます。自身が病気や認知症のリスクで誰にでも起きうる事態として重く受け止めております。

Aさんは今後どのように生計を立てていくのか、理事やサポートチームに支えられて決断していくようです。本人の希望をヒアリングして納得できる形で進めていけるといいなと思いました。

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